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草原克豪『新渡戸稲造はなぜ『武士道』を書いたのか 愛国心と国際心』

「日本のために弁じた英語による自己主張の著書はまだきちんと書かれていない。二十世紀の冒頭にはBushidoやBook of Teaとかが世に出たが、その同じ世紀の末には日本はもの言わぬ大国となっていた。そんな日本は言葉では語らず、made in Japanの自動車などによって自己表現する国となっていた。世間の錯覚と違って日本で国際派と目されている知識人の多くは日本国内向けの国際派にしか過ぎず、外国と知的応酬を展開する人は稀である」と『和魂洋才の系譜』などの著書がある平川祐弘は指摘する。

 そのようななか、新渡戸稲造こそは真の国際派であると思っている日本人は多い。私自身もそう思っていた。が、よく考えてみると、新渡戸稲造がした「外国との知的応酬」なるものは『武士道』を書いたことぐらいしか一般に知られていない。その『武士道』にしても病気の療養中に、短い期間で口述筆記されたものであり、生涯の仕事と呼べるものではない。若い頃に「我、太平洋の橋とならん」と志した新渡戸の本当の「外国との知的応酬」とはなにか。

 草原克豪さんの『新渡戸稲造はなぜ『武士道』を書いたのか』には新渡戸の真の国際人としての仕事が書かれている。そして、その動機には強烈な愛国心があったことも書き記されている。新渡戸を台湾総督府に招き入れた後藤新平は新渡戸のことをこう評した。「あの男は、ちょんまげに洋服を着せたような男だよ」。